入居中
- 賃貸マンションに居住しています。給湯器が故障したので、貸主にその旨連絡したのですが、1 週間経過しても、貸主からは修理の連絡がありません。夏場の事なので、近くの入浴施設を利用しています。
給湯器が故障してから実際に修繕・交換が完了するまでの期間から、免責期間として考えられる期間(通常の発注から修繕・交換に要する期間)を差し引いた日数に応じて計算された金額相当分を家賃から減額するよう貸主に請求することができます。また、その間は入浴できなかったので、入浴施設を利用したことによる金額も請求することができるでしょう。
- 特に期限の定めのない普通借家契約で、賃貸住宅に住んでいます。数日前に貸主から定期借家契約への切り替えるので、契約書にサインして返送するよう書類一式が送られてきました。従わなければいけませんか。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(概要)が平成11年12月9日に成立し、借地借家法の一部改正により定期借家制度が創設され、平成12年3月1に日に施行されました。 従来型の賃貸借契約は、正当事由(貸主がその建物を自己使用する理由など)が存在しない限り、貸主からの更新拒絶ができず、自動的に契約が更新されるのに対し、定期賃貸住宅契約は、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に賃貸借契約が終了する契約です(双方が合意すれば再契約は可能です)。
借地借家法一部改正は、平成12年3月1日から施行されていますが、それより以前に締結された住宅の普通借家契約は、借主を保護する観点から、借主と物件が変わらない場合、貸主の都合で一方的に定期借家契約への切り替えは認められていません。ただし、貸主と借主と合意解約がなされ、あらたに定期借家契約を締結することは可能です。
- ペットを飼いたかったので、ペット禁止でない物件を探し住んでいた。今回、更新となり、送られてきた新しい契約書をみたら、突然ペット禁止特約が追加されていた。住み続けることはできないか。
合意による更新は基本的には貸主と借主の合意の上となります。特約の追加について、説明を求め、良く話し合うことが大切であると考えられます。
なお、法定更新は、賃貸期間を除き、従前の契約条件によることになりますが、生活上のルールのことは良く話し合うことが大切です。■解説
貸主から、契約条件変更の通知があり、借主がこれに応じるか、明確に拒絶しなかった場合には、提示された条件で賃貸借が更新されます。
更新は、貸主、借主の合意が原則となりますので、条件に応じたくない場合は、貸主と良く話し合う必要があります。
本件の場合、ペットの飼い方等で貸主や近隣住民等に迷惑をかけていないか等、良く事情を話し合い、今後の対応について相談することが大切であると考えられます。
参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より- 家賃を滞納しているが、どのくらい支払いを猶予してもらえるか。
家賃の滞納は契約に違反する行為であり、家賃滞納により借主との信頼関係が破壊されたといえる場合には、賃貸借契約が解除され明渡し請求を受ける場合があります。どの位の期間滞納したら信頼関係が破壊されるのかという点については、個別事情によりますので、一概にいえません。
■解説
信頼関係が破壊されたか否かは、賃料不払いの程度、賃料不払いに至る事情、過去の賃料支払状況、解除の意思表示後の借主の対応等を総合的に考慮して判断がなされています。
賃料不払いという債務不履行による解除のためには、債務不履行解除の一般原則を定めた民法541条が要求する、①相当の期間を定めた催告、②借主がその期間内に賃料の支払をしないこと、③解除の意思表示が必要です。
ただし、判例は、賃貸借契約が長期間継続する契約類型であることから、④貸主と借主の信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情があることを借主が立証した場合には解除を認めないという、いわゆる「信頼関係破壊の法理」といわれる判例理論を確立させ、解除要件を厳格化しています。
一方で、当事者の一方が相互の信頼関係を裏切って賃貸借の継続を著しく困難にするような背信行為があった場合には、催告なしに契約解除できるとして解除要件を緩和しています。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 既に滞納した家賃について、分割払いに応じてもらうことはできるか。
貸主に分割払いに応じる法律上の義務がある訳ではありません。貸主と相談することが大切であると考えられます。
■解説
本来は契約に定められた通り賃料を支払う必要があります。貸主に、滞納となった事情、支払う意思があり、分割払いであれば支払えることや(支払再開の見込みがあれば)支払再開の見込み等を説明し、十分に相談し、理解を得ることが大切であると考えられます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 家賃の支払いを滞った覚えはないのに、家賃の滞納請求がきた。どうすれば良いか。
まず、家賃の支払先(例えば振込先)が契約上の支払先と一致しているか、貸主や管理会社の変更によって家賃の支払先に変更が生じていないか等、適切な支払先であることを確認しましょう。
貸主の指定する支払先に家賃を支払ったのであれば、既に支払った家賃の支払義務はありません。貸主に対し、例えば振込であれば振込依頼書、現金で支払った場合には当該現金を口座から出金した記録等を示し、何時どのように支払ったかを説明しましょう。
適切な支払先に支払っていなかった場合等、当事者間でどうしても話し合いがつかない場合には、ADR機関や調停手続等の紛争解決の専門機関に相談してみましょう。■解説
家賃を適切に支払っているのであれば、既に支払った家賃の支払義務はありません。
一方、貸主や貸主の指定する管理会社等の支払先に支払われていない場合(受領権限のない第三者等に支払ってしまっている場合)には、当該支払いは無効となる可能性もあります。
仮に契約上の支払先と異なる相手に支払いを行っていた場合であっても、全くの第三者ではなく経済的に一体と考えられる相手に対する支払いである場合や、支払先を誤ってしまうような蓋然性の高い場合(例えば民法478条の準占有者に対する弁済に該当する場合、表見代理が成立する場合等)には弁済の有効性を主張できることもあります。この場合には、まず事実関係をしっかりと把握することが重要です。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より- 支払いを滞った覚えはないのに、大家からなんども滞納の督促をされた。よくわからなかったので、放置していたら、大家から家賃支払請求訴訟を提起されてしまった。領収証は捨ててしまっていた。どうすれば良いか。
既に支払請求訴訟を受けてしまったのであれば、弁護士等の専門家に相談することが必要になると考えられます。訴状が送付されている場合、第1回の裁判期日に答弁書も提出せずに欠席すると、原告の訴えを認めたものとみなされ敗訴となりますので、身に覚えがないとしても訴訟には対応することが必要です。
■解説
訴状が送付されている場合には、よくわからない内容であったとしても放置していると、貸主の主張が裁判によって全面的に認められる可能性もあります。また、支払いを滞らせていないのであれば、例えば振込明細、預貯金通帳等、支払いをしたことが客観的に分かるものを準備して、弁護士等の専門家に相談してください。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 家賃を滞納していたら、居住妨害をしてきた。どうすれば良いか。
借主が任意に退去しない場合であっても、貸主等が私的な明渡し強行行為に及ぶことは自力救済として禁止されており、違法行為です。
■解説
追い出し行為の違法性については、家賃滞納による賃貸借契約解除前と後に分けて考えることができます。(1)賃貸借契約存続中
賃貸借契約存続中、貸主は借主に賃貸物件を使用収益させる義務を負っています(民法601条)。貸主は契約を解除するまでは、借主に退去・明渡しを求めることはできません。貸主が追い出し行為に及ぶことは、使用収益させる債務の不履行として損害賠償請求(民法415条)が可能です。(2)賃貸借契約解除後
家賃を滞納し、それが貸主・借主間の信頼関係を破壊するに至った場合には、貸主は契約を解除(民法541条)することができます。契約が解除された場合、借主には賃貸物件を適法に使用収益する権利はなくなりますから、借主は貸主に対して建物を明け渡す必要があります。
もっとも、貸主が借主に対し適法に建物明渡しを求めたにもかかわらず、借主が任意に明け渡さない場合であっても、裁判所の強制執行等の手続きによって明渡しを実現する必要があり、自らの実力を持って権利の実現を図ることは許されず、違法となります(自力救済の禁止)。実際、裁判例においても、明渡し目的の自力救済者の行為の違法性が認定される場合がほとんどのようです。
そこで、追い出し目的で居住妨害行為に及んだ者について、借主に対する不法行為(民法709条)が成立し、借主は損害賠償請求をすることができます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 家賃を滞納していたら、突然、無断で鍵が付け替えられており、自分の部屋から閉め出された。どうすれば良いか。
鍵を付け替えて居室から閉め出す行為は、借主の賃貸物件を占有使用する権利を侵害する行為に当たり、自力救済行為として違法となります。
■解説
(1)原則
賃貸借契約が継続中は、借主に使用収益の権利がありますから、貸主は借主を締め出すことはできません。
問題は、家賃滞納等により賃貸借契約が解除され、借主が使用する権利を失った後ですが、借主の占有権自体はあるものと考えられますので、裁判所の強制執行等の手続きによって明渡しを実現する必要があり、借主の占有権を排除しようとする行為は、自力救済として違法となると解されています。(2)借主が同意承諾を与えていた場合
借主が事前に鍵の付け替え等について、特約によって同意を与えていた場合(例えば賃貸借契約書中に予め包括的に借主から物件の開錠をする権限を授与する条項が入っていた場合等)、そのような特約の有効性が問題となります。
このような条項は、どのような場合に権利を付与するかの定めにもよりますが、法の禁止する自力救済を許容する合意であり、違法とされる可能性があるほか、消費者契約法10条により無効とされる可能性も考えられます。そのため、このような条項があっても、貸主による実力行使は、民事上の不法行為に該当する可能性があると考えられます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 家賃を滞納していたら、留守中に荷物を全て運び出されてしまった。どうすれば良いか。
原則として、借主の荷物は借主の所有物ですから、貸主が勝手に処分することはできないと考えられます。
■解説
(1)原則
明渡し後であっても、借主が残置した家具・調度品等の所有権は借主に属するので、貸主がこれを勝手に処分した場合は、民事上(損害賠償請求)、刑事上(窃盗罪、器物損壊罪等)の責任が生じます。(2)残置品の処置の定めがある場合
借主の明渡しが完了しない場合に、物件内の動産の搬出や処分をする権限を付与する条項や、借主が物件内の動産の所有権を放棄する条項がある場合であっても、借主の意思に反して物件内に立ち入って動産を搬出・処分等することは、住居侵入罪等に当たる可能性や、民事上も不法行為に該当する可能性があると考えられます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 共益費とはどのようなものか。支払義務はあるか。
共益費とは、賃貸物件の共用部分(外灯、エレベーター、共有廊下、ごみ集積所等)の維持・管理のために支払う費用のことをいいます。契約条件に示され、合意している場合、支払わなければならないと考えられます。
■解説
賃貸借契約では、賃料のほかに毎月定額の共益費の支払いを明記したり、はじめから共益費込みで賃料を設定したりする等して、徴収されています。<参考>
(共益費)
第5条 乙は、階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等(以下この条において「維持管理費」という。)に充てるため、共益費を甲に支払うものとする。
2 前項の共益費は、頭書(3)の記載に従い、支払わなければならない。
3 1か月に満たない期間の共益費は、1か月を30日として日割計算した額とする。
4 甲及び乙は、維持管理費の増減により共益費が不相当となったときは、協議の上、共益費を改定することができる。
資料)国土交通省「賃貸住宅標準契約書」参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 賃貸アパートのプロパンガス契約を大家がまとめて契約している。別の会社との契約にしたいが、要求できるか。
貸主が一括してプロパンガス契約を締結していることを知って借主は契約を締結したのであれば、借主に変更を請求する権利までは認められないと考えられます。
■解説
基本的には貸主は、借主からの契約会社の変更の申入れに対して、応じる義務はないといえます。別の会社の料金の方が安い等の事情がある場合には、そのことを示す資料等を用意して、貸主に相談してみましょう。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 貸主が一括して水道契約をしており、貸主から料金の請求が来るが、水道メーターに基づいて支払う額に、貸主の手数料分上乗せして請求されている。支払義務はあるか。
賃貸借契約の内容によります。仮に貸主が水道料金の請求等の事務手続きの手数料として料金を加算することを予め説明し、そのような契約書に借主が署名・押印して合意した場合には、料金の支払義務が生じます。
■解説
水道料金の負荷徴収方法も含めて賃貸借契約で決定されている場合には、当該契約に従う必要があります。手数料として不相当に高額であるとか、メーターで戸別に金額を把握できるのにそれをしない等、貸主の設定した金額が不当と思われる事情があれば、貸主と交渉するか、調停等で条件を話し合うことは考えられるかもしれません。
なお、水道料金については、貸主がアパート全体につき一括して契約を締結する「共同住宅扱い」という契約方法が存在します。この場合、貸主が戸別の水道料金の請求等の事務手続きを行っていることから、手数料を上乗せして徴収する貸主もあるようです。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 入居した時からついている部屋の中の蛍光灯が切れた。自分で取り替えるのか。
入居した時からついている部屋の中の蛍光灯が切れた。自分で取り替えるのか。
借主は原則として修繕義務を負わず、貸主に通知する義務があります。ただし、契約内容により、小規模な修繕は貸主に通知することなく、借主の負担で行うことができます。■解説
賃貸借契約に「電球・蛍光灯・ヒューズの取り替えは借主が行う」旨が入っている場合には、貸主に連絡することなく、自分の負担で取り替えることができます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- シャワーのホースが破損した。大家に修繕を依頼しているが、いっこうに直してもらえない。不便なので早く直して欲しいのだが、自分で勝手に直して良いか。
原則として貸主の承諾が必要です。
■解説
修繕の必要がある場合、原則として、貸主に通知する義務があります(民法615条)。場合によっては依頼内容を書面で通知したり、自ら修繕する意思がある場合にはその旨を伝えた上で同意を得たりする等の方法で自らの意思を貸主に示すことが有効である場合もあります。
なお、契約上、軽微な修繕について、借主が行う旨がある場合は、借主の負担にて修繕することができます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 入居中に競売により建物の所有者が変更になった場合、引き継がれる借主の権利及び義務はなにか。
入居中に競売により所有者が変更になった場合に引き継がれる権利の有無は、借主の入居時期により異なります。
■解説
競売により貸主が変更になった場合は、抵当権設定・競売手続開始と入居の時期の関係により、以下のとおり権利関係が異なります。これは入居時点で、抵当権の設定が登記されていた建物を賃借した場合について、短期賃貸借を廃止する法律が平成15年に成立し、平成16年4月1日から施行されていることによるものです。(1)平成16年4月1日以降に入居した場合
1)抵当権設定前に入居した場合には、売買の場合と同様、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれます。
2)抵当権設定後に入居した場合には、原則として、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれません。
2-1)競売手続開始前に入居した場合のうち、
2-1-1)賃借権設定登記がなく、または賃借権設定登記前に設定された抵当権者全員の同意の登記がなければ(民法387条1項)、競落後6ヶ月は借主の居住が認められますが(民法395条1項1号)、6ヶ月後には退去することになります。
2-1-2)賃借権設定登記があり、かつ賃借権設定登記前に設定された抵当権者全員の同意の登記があれば、売買の場合と同様、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれます(民法387条1項)。
2-2)競売手続開始後に入居した場合には、競落後、借主は直ちに退去することになります。(2)平成16年3月31日までに入居した場合
1)抵当権設定前に入居した場合には、売買の場合と同様、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれます。
2)抵当権設定後に入居した場合には、原則として、変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれません。
2-1)賃貸借契約の期間が3年以内の場合、賃貸借契約期間の終了までは変更前の所有者の賃貸借契約に伴う権利及び義務が引き継がれます。
2-2)賃貸借契約期間が3年を超える場合、競落後、借主は直ちに退去することになります。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 突然、不動産業者から連絡があり、保証人として、兄の未納分の家賃8ヶ月分を支払うようにいわれた。どうやら、兄が勝手に私を連帯保証人とし、賃貸契約を結んでいたようである。その後、兄が行方不明となったため、不動産業者は保証人の私に連絡したとのことであった。兄とはもう5年も会っておらず、また、現在も連絡がとれない。支払う必要があるか。
この時点では支払う必要はないと考えられます。
■解説
まずは、不動産業者に自分は知らなかった旨を伝え、契約がどのような状況で成立したのか(連帯保証人の印鑑を持っていたのか、委任状をもっていたのか、等)を尋ね、状況を確認すると良いと考えられます。その上で、表見代理の成立が疑われる場合には、弁護士等の専門家やADR機関等法律の専門機関に相談した方が良いと考えられます。参考資料)賃貸借トラブルに係る相談対応研究会「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)平成24年2月」より
- 賃貸アパートに住んでいたが隣人の過失で失火、類焼し自分の部屋の家財の多くも消失してしまいました。自分の受けた損害について隣人に損害賠償を求めることができますか?
重大な過失を除き、不法行為責任の一般原則を規定した民法第709条の規定は、失火の場合には適用されません。従って、失火人に対し損害賠償の請求はできません。
また失火人である隣人の加入する火災保険はおそらく借家人賠償責任補償特約付き契約と想定されます。この特約は失火による賃借人としての大家に対する補償を負うものであり、残念ながらあなたの損害を補償するものではありません。
なお隣人の加入している火災保険に失火見舞い費用特約が付加されている場合のみ、被災一世帯あたりに所定のお見舞金が支払われますが、その支払い額には限度があり、損害を補うには至りません。
あなたが加入している火災保険に家財保険特約を付加している場合には、そこから補填されます。
住める状況にない場合は、一般的に賃貸借契約の終了となり賃貸人からは敷金が返還されます。※民法第709条(不法行為による侵害賠償)故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。※明治三十二年法律第四十号「失火ノ責任ニ関スル法律」原則として失火人に対して損害賠償責任を問えない。だたし、失火人に重大な過失がある場合は除く。- アパートの部屋と敷地内駐車場の賃貸借契約書が一つになっており、月額賃料には駐車場料金を含むという記載の契約となっています。賃貸人としてはどうしてもその駐車場が不要なので解約を申し入れたいと思っているが可能でしょうか?
駐車場付きの建物賃貸借契約と思われます。賃料も駐車場料金を含む金額で契約書に記載されていることから、一体として借地借家法の適用を受けると考えることが妥当かと思われます。従って、賃貸人都合で一方的な駐車場のみの解約はできません。もちろん賃借人が合意すれば解約も可能でしょうが、この場合でも駐車場解約後の部屋の賃貸料を提示し交渉する必要がありますし、契約変更手続きも必要になります。
- 築20年経過の集合住宅に入居しています。給湯器が故障したので、管理会社に連絡したところ、機器や業者の手配などで修繕完了までに15日程度を要する、という回答でした。こうした場合には、家賃の減額を請求できる、と聞いたのですが。
民法606条「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」と規定されています。このため、本件の場合、賃貸人が給湯器の修繕することになります。しかし、製品不足の影響や工事業者の手配をする必要があるため、修繕完了までにはある程度の期間が必要となります。
給湯器の故障ということですと、風呂が使えないという状況が生じます。このことは一般的に受忍限度を超えている、と考えられますので、賃貸人は、賃借人に対し、その代替手段として銭湯代を支給する、あるいは家賃減額(免責期間があるので、故障から修繕完了日までの全期間ではありません。)するといった内容を提案するなど、賃貸人と賃借人で協議をしていくことになります。(民法611条)上記以外にも、エアコン、インターネット環境、トイレといった契約書に設備とされたものについても、同様に修繕完了までの期間は住宅の一部が使用収益できない場合とみなされ、代替手段の提供や家賃減額の対象になります。なお、上記のような設備が故障した場合は、管理会社かオーナーに直ぐに連絡することが重要です。これを怠った場合は、善良なる管理者の注意義務違反を問われることもあります。
こうした事案に関しては、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会から「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」が作成されていますので、話し合いの参考にしてはどうでしょうか。- 賃貸住宅を契約し入居しましたが、入居後、「数か月前に居住者が救急車で運ばれ病死したこと」を近所の方から教わりました。これは心理的瑕疵として契約前に宅地建物取引業者からの告知が必要なのではありませんか?
本事案の場合は、一般的な自然死であるので心理的瑕疵には該当しないと考えられます。従って告げなくてもよい場合に該当するものと思われます。
不動産取引において、人の死が心理的瑕疵(いわゆる事故物件)に該当するかどうかは、事案の態様・周知性等や該当する物件の立地等によって個々に異なり、社会や時代の変化とともに変遷する可能性もあります。令和3年10月に出された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では次のように記載されています。
【原則として告げなくてもよい場合】
① 自然死(老衰・病死・転倒等による不慮の事故死)
② ①以外の死の発生(自殺・殺人による死)または特殊清掃が行われることとなった①の死で、発覚後概ね3年経過した場合(但し、事件性・周知性・社会的に与えた影響等が特に高い場合はこの限りではありません。)
③賃貸借取引及び売買取引の対象不動産の隣接住戸、または借主または買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で、①以外の死が発生した場合または①の死が発生して特殊清掃等が行われた場合
【告げなければならない場合】
前述①~③のケース以外において、死因や事案の経過期間に関わらず、買主・借主から事案の有無を問われた場合や買主・売主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、宅地建物業者は調査を通じて判明した点を買主・借主に告げなければならないとされております。
なお宅地建物業者は、人の死に関する事案が生じたことを疑わせる特段の事情がなければ、人の死に関する事案が発生したか否かを自発的に調査すべき義務まで認められてはいません。調査先の売主・貸主等から不明であると回答された場合、無回答の場合にはその旨を告げればよいこととなっています。- 私は民法改正前の賃貸借契約の連帯保証人となっております。この度の更新で賃貸人と賃借人の間で合意更新できずに法定更新になってしまったそうです。改正民法では極度額の設定が不可欠ですが、私の場合はこの適用を受けないのでしょうか?
借地借家法でいう法定更新では、賃貸人と賃借人が新たな合意をしたわけではありません。令和2年4月1日の改正民法施行日以降に法定更新となった場合は、改正後の規定は適用されず、改正前の規定が適用される状態が継続されることになります。なお法定更新された場合、連帯保証人は新たに保証契約をしているわけではないので連帯保証契約も改正前の規定が適用された状態が継続します。
- 賃貸住宅の換気扇が動かなくなり、オーナーに修繕をお願いしました。善管注意義務違反の為、賃借人負担と言われました。通常の使用をしていましたが、何年も清掃はしていません。私の費用負担になりますか。また、善管注意義務とはなんですか。
換気扇を掃除をしながら使用し、契約書に何ら規定がなければ賃貸人負担ですが、何年も清掃していないで油汚れやススが故障の原因の場合は、善管注意義務違反を問われ賃借人負担になると思います。
善管注意義務とは、民法第400条の「善良なる管理者の注意義務」のことです。
入居者の管理が不十分であった為に起こった劣化や損傷などが善管注意義務違反になります。
【民法第400条】債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。- 一般賃貸借契約で賃貸マンションに住み、間もなく更新を迎えます。更新に当たって更新料(家賃1か月分)と更新事務手数料(家賃0.5か月分)が必要と言われております。契約時には礼金だの敷金だのを払い、月々の家賃もしっかり払っているのに、更新時には更新料や更新事務手数料を払えなんて、どうしても納得いきません。法的な根拠でもあるのですか?
更新料や更新事務手数料については、そもそも民法や借地借家法に規定は設けられておらず法的根拠はありません。更新料とは土地・建物の賃貸借契約が更新される際に更新の対価としてオーナーに支払われる一時金のことを示し、その更新手続きに対する労務報酬として事務手数料が不動産会社や管理会社に支払われるようになっているようです。これらは不動産業界の昔からの慣習です。ただ、契約の際には契約書面に更新料・更新事務手数料に関する条項があり、説明を受けたうえで合意しているはずです。更新料については消費者契約法第10条に定める「消費者の利益を一方的に害する」規定が争われた最高裁平成23年7月15日の判決では、「契約の当事者が、更新料について支払う旨の明確な合意をし、その合意の内容、特に借主が貸主に支払う更新料の額が具体的な取引において、客観的に見て暴利的でないなどの合理性があれば、消費者契約法第10条の規定に反しない」としております。従って更新料の家賃1か月分は高額とは言えず、消費者契約法第10条の規定に反せず有効と考えられます。更新事務手数料(家賃の0.5か月分)についても同様です。なお、支払わずに放置しておくと遅延侵害金が発生することもあり得ますので、契約に則り支払うべきでしょう。なお契約書に更新事務手数料についての記載がない、もしくは不明確な定めといえれば、支払いを拒否する事はできます。
■消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限しまたは消費者の義務を荷重する消費者契約の条項であって、民法第1条2項に規定する基本原則の反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。- 賃貸住宅に住んでいるが、エアコンが古く故障した為貸主に交換をお願いしたが、従前の借主の残置物の為借主負担で交換するよう言われました。借主負担となりますか。
一般的に「残置物」といわれている物は、従前の借主がその所有権を放棄したもので、それを占有している貸主がその物の所有権を取得しているものと考えることができます。
エアコンに関しては契約書に設備(残置物)として記載されていれば、貸主が負担するものと考えられます。
ただし、エアコンの修理義務を定めた特約で借主負担となっていれば、それに従うことになります。
残置物が不要の場合は、はっきりと処分してほしい旨を管理会社や貸主に伝えることが必要です。- 戸建ての賃貸住宅に入居しています。浄化槽が不調になり、時々異臭がします。貸主に修繕依頼ができますか。
通常の利用では設備の経年劣化と考えられるので、修繕義務は貸主にあると考えられます。
故障や不具合を発見したら速やかに貸主に報告・修繕依頼をしてください。- ペット飼育可の条件で契約し数年前より居住している賃貸アパートのオーナーがこのたび代わりました。新オーナーから新しい契約書を提示され、その中にはペットの飼育を認めないという条件がつけられてておりました。到底納得できるものではありません。この条件を受け入れ新契約書に署名・捺印しない場合には、次回の更新はせず退去してもらうとも言われました。私はこの条件提示に従わなければならないのですか?
新オーナーは旧オーナーから貸主としての地位をそのまま引き継ぎます(民法605条2、605条3)。新オーナーとの間で適用される契約条件は、旧オーナーとの賃貸借契約上の権利・義務をそのまま引き継がれることになります。従って、新しい条件に同意できなければ署名・捺印する必要はありません。
また従わない場合には更新せず立ち退きを要求するとのことですが、借地借家法第28条によれば、「正当な事由」が認められなければ不可とされております。- 賃貸借契約書の「契約期間中の修繕」条項に借主負担で修繕することもできると記載があるがどのような修繕(交換)ですか。
①電球(最近はLED一体型があり、確認が必要です。室外の共用部は貸主が交換します。)
②電池(エアコンや照明器具など)
③パッキン(キッチンや洗面台、お風呂、洗濯機置き場などの蛇口部分)
④網戸
などが、交換がある消耗品です。
上記すべてが交換対象とは限りませんので、賃貸借契約書にて借主負担か確認してみてください。- 現在の賃貸アパートに15年前から住んでいます。10月にアパートの貸主から、「建物が老朽化して危険なので取り壊す。2月までに退去してもらえないだろうか」と言われました。アパートはたしかに古くなっていますが、非常に気に入っているので、出て行きたくありません。断ることはできないのでしょうか。
建物の老朽化を理由に貸主が立ち退きを求めてきた場合でも、すぐに退去する義務はありません。貸主が借主に退去を求める際に正当な理由が必要です。建物の老朽化は一つの理由となり得ますが、建物の老朽化が深刻で安全性に問題がある場合は、貸主の立ち退き要求が正当と見なされる可能性があります。
貸主は少なくとも6か月前に書面で通知する必要があります。あなたが10月に通知を受けたのであれば、2月の退去は法的に早すぎる可能性があります。
アパートの賃貸借契約において、貸主が借主に退去を求めるには、借地借家法26条1項により、「期間満了の1年前から6か月以上前までの通知(期間の定めがない場合は、解約の申し入れから6か月を経過することで終了)」と、同法28条により、立ち退きを求める「正当事由」が必要とされています。
本件においては、まず、退去までの期限が6か月に満たないので、これを理由に明け渡しを拒めます。
しかし、貸主は明け渡し期限を遅らせて明け渡しを求めることが予想されますので、その場合には、建物の老朽化程度や修理の可否について詳しい説明を求めてみてください。その老朽化の程度については、建築士などの専門家に相談することが適切です。
建て替える方が適切であるということになれば、立ち退き料について交渉することになります。立ち退き料の額については弁護士にも相談すると良いでしょう。- 老朽化し建て替え予定であることを理由に大家が雨漏りの修繕をしてくれず生活に支障があります。このような場合我慢しなければいけないのでしょうか。
借地借家法では、大家には賃貸物件を適切な状態に保つ義務があります。特に雨漏りのような建物の基本的な問題については、老朽化や建て替え予定があっても、修繕を怠ることは法律に違反する可能性があります。
具体的な対応方法としては、雨漏りによって生活に支障のあることについて口頭だけでなくメールや手紙などで速やかに修繕を求める要望を正式に伝えたらいかがでしょうか。
雨漏りによって、通常の生活が営めなくなっている場合は、家賃の減額を求めることができる場合もあります。- 賃貸住宅に住んでいます。自分の費用で設備をグレードアップをするのであれば、 取り替えてもよいですか。
賃貸住宅の居住者が、契約書及び重要事項説明書に記載されている設備(例えば、トイレ、浴室、シャワー、洗面台、洗濯機置場、給湯設備、ガスコンロ等、冷暖房設備、備え付き証明器具設備、オートロック、地デジ対応、CATV対応、インターネット対応、メールボックス、宅配ボックス、鍵など)を勝手に改善することは、一般的にはできません。
これは、賃貸契約の一環として、設備や内装は大家(オーナー)の所有物であり、居住者が無断で変更や改善を加えることは契約違反となる可能性があるためです。
設備の改善を希望する場合、大家の許可を事前に得て実施することは可能です。無断で設備を変更したり改善したりすると、退去時に元の状態に戻す「原状回復」の費用を請求される恐れがありますので注意してください。- 庭付き戸建てを貸している貸主です。
借主が庭の手入れをせず、雑草が伸びてきて防犯面で心配になってきました。
雑草をどうにかしたいが、庭の手入れは貸主と借主のどちらがするものなのでしょうか。 一般的な庭付き戸建て賃貸では、庭は契約に明示されなくとも賃貸借される目的物の一部であり、そこでの草刈りは賃借物に対する善管注意義務を負う借主が行わなければなりません。
借りているものを適切に管理しないと損害賠償責任を負う必要があります。
また、樹木に関しても、剪定等の管理をおこたり枯れてしまった場合は善管注意義務違反になります。- 夫婦2人で賃貸物件に住んでいます。 このたび子供が生まれたが、これを理由に貸主から退去して欲しい旨を告げられました。 賃貸借契約書の特約には「子供が生まれたときは退去するものとする」となっています。 退去しなければいけませんか。
禁止事項として定められたものでも、子供が生まれたことを理由とする契約解除は公序良俗に反する特約であり、無効になる可能性が高く(民法第90条)、賃貸借契約書に記載されていても退去に応じる必要はないでしょう。
- 記録的な大雪のニュースがあり、あまり雪が降らない地域ですが心配です。 賃貸物件に住んでいます。雪が積もった場合、誰が雪かきをするのでしょうか。
賃貸物件の雪かきは、基本的に入居者の「善管注意義務」として行います。
管理費は日常的な建物の維持・管理のための費用で、大雪は「日常的な物件管理」に含まれない以上、管理会社として必ずしも応える義務はありません。
